●エッセイ2
庭の美しいバリのコテージ

 

バリに着いた翌日の朝、コテージの両観音扉を開けた瞬間に見たガーデンの美しさは、言葉では言い表すことが難しいほどの驚きでした。何百、何千色もの、すべてが違う色の緑。赤や白、黄、紫...と庭いっぱいに咲き乱れる南国の花々...。日本からのフライトはJALもガルーダも到着は夜になります。バリのホテルはどこもそうですが、夜は高級ホテルのフロントでさえ薄暗く、庭を照らすガーデンライトも椰子の木をライトアップはしているものの、庭の様子はほとんど見えない状態です。自分がどんなところに泊まるのか、その時点では何もわからないのです。チェックインした後どこにも出かけずに、ルームサービスで軽くカクテルでも飲んで寝てしまえばなおさらです。

バリで最初に泊まったホテルが、クタにあるポピーズコテージというホテルでした。庭の美しい、幻想的なイメージの小さな小さなホテルで、ここ10年ほど毎年のように泊まって、その時の感動を楽しんでいるのです。

バリ島ではいくつか他のホテルにも泊まりながら、気に入ったホテルを探しましたが、とうとう気に入った宿には出会えず、結果的にポピーズが常宿のようになってしまいました。オーナーはイギリス人とバリ人のご夫妻で、開業から25年ほど経った今ではクタの老舗ホテル的存在。茅葺き屋根の4棟が1棟になった建物で、全室20部屋ほどの小さなホテルですが、ツアーに毒されていないとても良い雰囲気を持っています。

●クタの中心街。さらにビーチまで500mほどでしょうか。遊び好きの若者には最適なロケーション。
●併設されたポピーズレストランの料理はかなりおいしいし、雰囲気もいい。森の中のレストランという感じ。
●コテージは1棟1棟独立した(ように見せている)茅葺き屋根のバンガローで、バリらしさは抜群。
●敷地内は狭いけれど、プライバシーを守るように植栽されたガーデンはかなり美しい。後から出来たプールもジャングルの中のオアシスといった感じのすてきなプール。
●部屋はクリーンで、スタッフの親切な態度は好感が持てる。

日本人に人気のアマン系のホテルやフォーシーズンズ、ヌサドゥアの外資系高級ホテルにはまったく縁がありませんが、クタの老舗のホテルは何軒か泊まりました。ビーチは目の前で、敷地は広く、贅沢なリゾートライフはおくれるけれど、どうしてもバリに来た感じは薄らぎます。大味といった感じです。しかもあるホテルでは、スタッフが大麻はどうだ?女は欲しくないか?おみやげは?....と、声をかけてくる始末。最悪でした。ロスメンではないけれど、安いバンガローにも泊まりました。フロントスタッフのカデちゃんは美人で感じよかったけれど、部屋はシンプルすぎて、今度はリゾートらしさを堪能することはできませんでした。僕の泊まったホテルの中で言えば、コストパフォーマンスのいちばん良かったホテルがこのポピーズ・コテージだったのです。

今では日本人の観光客を呼び入れるのに力を入れ始めたようですが、つい最近まで日本人に会うことがなく、思いっきり海外に来た!という感じも、海外旅行を思いっきり満喫させてくれました。併設のレストランも便利でうれしい設備。子連れで行くと、やれ疲れたとか、やれ眠いとか、病気になって寝込んでしまうこともあります。そんな時、おいしいレストランに行くことなんてできなくなっちゃうでしょ。ポピーズなら、おいしいレストランのメニューがそのままルームサービスで味わえてしまうのですから、こんなに嬉しいことはありません。オーダーしたレストランのメニューをプールサイドに持ってきてもらうこともできます。2〜3年前からフロント・マネージャーになったニョマン・メラティさんも、元気で大らかで、感じの良い女性。高級ホテルのように、なんでもかんでもサービスがあるわけではありませんし、贅沢な設備もありません。決して贅沢ではないけれど、隅から隅まで心の行き届いた居心地の良いホテルなのです。

 


 

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