●エッセイ6
バリで医者にかかった話

バリは南国です。そして東南アジアです。バリだから...ということではなく、こういう地域を旅行するには気を付けなければならないこともたくさんあるし、それなりに覚悟が必要です。だからと言って何もこわがる必要はありません。

ディープなバリ旅行なら予防接種が手っ取り早い。

まずコレラ、肝炎、破傷風...は、かかったらやはり怖い病気なので注意は必要です。ホテル以外の宿泊施設、ロスメンやホームステイでの宿泊を予定している人や、観光地からはずれたところに行く予定のある人、長期滞在を計画している人は、できるだけ予防接種をしてから行くことをおすすめします。1週間おきに2〜3回接種しなければならないものや数千円あるいはそれ以上の金額がかかる接種もあるけれど、病気にかかってからでは遅すぎますし、結果的にはお金には換えられない代償を払うことになりかねないのです。

そんなディープなバリ・ステイを体験する人は、他人にとやかく言われたくないもの。で、私たちのような一般旅行者が気を付けたいのが、下痢や日射病、日焼けレベルの病気です。ちょっと気を許すと、せっかくの旅行も台無しになっちゃいます。軽いものから重いものまでありますけど、たぶんバリを訪れる旅行者なら必ずと言っていいほど一度は経験するものです。

ふつうの旅行者が一度は掛かるのがバリ腹。

まず、下痢。一般的にはバリ腹といわれ、バリに到着して2〜3日後くらいに下利便が出始める。早い人なら着いた日の夜にはバリ腹の洗礼を受け、トイレに入りっぱなし状態になってしまいます。生水を飲まないことは当然のこと。プールの水、うがいの水、フルーツ、サラダ、ジュースの氷...と、あらゆるところに原因があります。お医者さんに言わせると、暑さと旅の疲れが重なって、お腹を壊す事が多いそうです。コレラには当然効かないと思いますが、こういった下痢にも正露丸は効かないようです。却ってよくないそうです。私の経験では、バリに行く数日前から一日一さじのビオフェルミンを飲んでおくと順調です。それが本当によいことなのかわかりませんが、お試しあれ...です。

とくに暑さと旅の疲れには要注意です。3泊4泊というような短期間にスケジュールをぎっしり詰め込んで、さらに夜遅くまでお酒を飲んだりしている旅行者が多いので、飛行機で疲れた体はさらにボロボロ。ふつうならかからないような病気にさえつけこまれてしうのも当然です。できれば1週間、しかもできるだけのんびり滞在したいものです。

疲労と日射病に気を付けて。

たとえば、このバリ腹以外にも、日射病や熱射病。そのせいで下痢になることも良くある話です。とくに子供は、暑さには要注意。日中の屋外は当然30度を超す暑さが続きます。熱が体内にこもってしまって、その結果熱が出たり、下痢になったり...旅の疲れと重なるといろいろな症状が出てしまいます。うちでは長女が3歳の時、次女は0歳の時からバリに一緒に行っているのですが、2週間ほど滞在するうちの少なくとも1回はお医者さんのお世話になっています。そのほとんどが、疲労と暑さから来るものです。

そんな小さな時に連れていくなんて子供にとっては拷問じゃない...そういう意見もあると思います。それはそれで認めるし、それでも早いうちからいろいろと体験させるのがいいという意見もあります。人それぞれですし、人生色々。連れていきたい人は行けばいいと思いますし、連れていきたくない人は連れていかなければ良いのです。それはそれとして、旅先ではどの医者に掛かるか問題ですよね。以下、経験談をお話ししましょう。

まずはホテルのフロントに連絡。

まず、病気になったらホテルのフロントに言うのがいいでしょう。そう言えばバリで救急車なんて見たことがありません。友人がバイク事故で入院したときも、通りかかったガラス屋のトラックが病院に運んでくれたくらいです。

ホテルのフロントに言えば、お医者さんを呼んでくれるか、病院に運んでくれます。クタには24時間オープンの診療所がいくつかありますし、たいていのホテルには契約しているお医者さんがいて、フロントに言えばスグに...とは言えないですけど、どこからか呼んできてくれるのです。大きいホテルなら医者が常駐しているところもあります。バリでは大きな総合病院は市街地のデンパサールか北部のシンガラジャにしかありません。

24時間ドクターは、高くてヤブ医者でした。

初めてお医者さんに来てもらった時のことです。娘が腹痛を訴えたので、やはりフロントに言って医者を呼んでもらいました。24時間いつでも往診に来てくれるというのがウリのドクターでしたが、こういう医者はめちゃくちゃ料金が高いことを知っておきましょう。我々旅行者が海外旅行保険に入っているのを知っていますし、日本人ならふっかけても安いと思うことを知っています。そして「24時間イツデモ来マス。私ノ携帯電話ニ連絡シテクダサイ」と、何度も何度も強調します。昼間ですがホテルの部屋まで来てくれて、診て、英語で話してくれて、市販の薬?!をくれてUS$98でした。海外で医者に掛かるとかなり高いと聞かされている私たちには、とても安く感じました。1万円そこそこでホテルまで来てくれて、しかもまた電話していいんだ。安心だねって。

でも、娘の腹痛は治らず、「24時間いつでも...」なんて言っていたにもかかわらず、夜中に電話をすると、面倒くさそうな声で「大丈夫、薬を飲んでいれば治るから」といって、2度目は診に来ない。命に掛かる病気ではないと判断したかもしれないけれど、娘は一晩中腹痛で泣き続るし、言葉の壁もあるし、親としては心配です。あまりにもひどいので、翌日友人のオフィスに行き、スタッフに頼んで市内の総合病院に連れていってもらいました。

市民病院は安かった。

まず連れていってくれたのはデンパサールの個人病院。お金持ちの家庭だけをホームドクターとして診ているような医者で、料金もある程度高いけれど信頼度も高いらしい。よく言うその道の権威が多いそうです。友人の紹介で高級住宅街の一画にあるそのドクターの家に行ったものの、友人のホームドクターは留守で診てもらうことはできませんでした。

仕方がないので、そのままデンパサールの市民病院に行って診てもらいました。ここは、ドライバーの家族も利用している病院で、彼らの信頼も高いそうです。ここも英語が通じます。お腹が痛いと言ったらそのまま薬を飲むように言われました。往診してくれた医者がくれた薬を見せたら、これを飲むようにいいます。腸じゃなくて胃が痛いんじゃないのかと言ったつもりだが伝わらず、結局その日の夜も治りませんでした。翌日もう一度行くと、待合室で待っていた我々を見つけて女医さんが、「昨日も来てたけど、どうしたの?」と声を掛けてくれました。英語で一生懸命説明して診てもらうと、やっと胃の薬にしてくれました。それを飲んだら翌日には少し痛みもラクになったようで、ひと安心となりました。診察料と薬代で1000円ほど。2度目の診察料は取られませんでした。

所詮バリです。一度じゃ治らないみたいです。

0歳の時に連れていった次女が熱を出した時、別のドライバーが連れていってくれたのもデンパサールの病院でした。しかし日曜日だったせいか、前回とは違う病院です。こちらは今までと違い、英語がまったく通じませんでした。バンカラな医者がササッと診察して、何か言ったけどバリ語なのでわかりません。ドライバーが通訳をしてくれたのですが、医者の言うインドネシア語を辞書で訳すと、そこには「熱」と書かれているだけでした。診察料は1100ルピア(15円弱)。え?と聞き返したら、「日本人には安すぎて驚いているぜ」みたいなことを言っているのがわかりました。ほんとうはヒアリングが苦手で聞き返しただけなのですが、まあいいでしょう。薬代が180円ほど。病名もはっきりわからなかったけれど、熱中症だろうと判断しました。結局高い医者でも安い病院でも同じようなもの。バリでは何をするのでも、1回じゃ済まないんだと実感しました。だったら安い方でいいでしょ。いずれにせよ念のため、海外旅行保険には入ることをお薦めします。

▲次に進む

▲メニューに戻る