●エッセイ7
バリのレストランの話

バリでの食事は、バリ旅行の楽しみの一つです。僕はたいていクタやスミニャックあたりのレストランで食べていますが、インドネシア料理はもちろん、中華、タイ、ドイツ、イタリアン、日本料理....と、飽きることがありません。しかもなんだかみんな本格的なので驚きます。どこに入ってもそこそこですから、どんどんいろんなお店に入ってみることをおすすめします。

 

●その1...マデズ・ワルンの話

マデズ・ワルンと言えば、クタで有名な老舗レストラン。15年前に行ったときはもすでにもう人気の有名レストランでした。インドネシア料理はもちろん、ウエスタンからエスニック、ジャパニーズらしきものまで、そのメニューはいろいろです。オランダ人と結婚した食いしん坊のマデさんがつくったお店だそうです。ワルンとは屋台とか食堂という意味ですが、まさにバリの食堂といった感じのお店。旅行者はもちろん、クタ在住の外国人、地元のお兄さんにまで人気があります。食事時はいつも満席状態。クタを訪れた際にはちょっと時間をずらして一度は入って欲しいし、オープンテラス風の店先に座って、クタの雑踏を眺めながらしばらく時間を過ごして欲しいと思います。そうすれば、クタの今を実感できると思うのですが、いかがでしょう。値段も手頃で、味もなかなか。ナシゴレンもナシチャンプールもおいしいし、ちょっと涼しい朝にはベジタブルスープがおすすめです。バリでは意外と熱いスープが飲みたくなるものです。
2000年7月には改装工事のためか店は閉まっていました。数年前にはスミニャックに2号店ができて、こちらも繁盛。こちらは1号店のイメージを踏襲してつくられたアンティーク風の店内のテーブル席に加え、おしゃれなショップに囲まれた中庭を使って、ガーデンレストラン風に椅子とテーブルが並べられています。数年前に1号店のメニューから消えたジャパニーズフード(刺身と寿司ロール)はこちらで再現されています。たぶん、担当のシェフがこちらに移ったのではないかと勝手に推測しているのですが...。クタでいちばん好きなレストランのひとつです。ただし、店員の感じはあまりよくありません。もう少し笑ってよ。

 

●その2...ポピーズレストランの話

クタでもうひとつ美味しいレストランを挙げるとすれば、ポピーズレストランです。マデズワルンがバリの現実とすれば、こちらはバリの夢の部分かも知れない。味もさることながら、バリのジャングルを思わせる、幻想的なガーデンレストランがウリ。雰囲気を味わうなら夜、味を楽しむなら昼に行くべきかも知れません。シーズンオフでも旅行者で賑わい、夜は7時頃から9時頃まで連日満席で、予約をしないと入れないほど。朝方ジンバラン港に荷揚げされた新鮮な魚介類はかなりおいしいし、イタリアンにも力を入れているので、ぜひご賞味を。なぜかSASHIMIなるメニューもあります。ツナとバターフィッシュにわさびと醤油を付けて食べる刺身。ロブスターは小さめだけれど味が濃く他の店とはひと味も二味も違うし、インドネシア料理も当然おいしい。ここのメニューはほとんど食べ尽くしてしまったけれど、また足を運んでしまいます。バリでの滞在はこのレストランに併設されているポピーズコテージを利用していることが多いのです。このレストランメニューがそのままルームサービスやプールサイドで味わえるのがうれしくてたまりません。

 

●その3...イカンバカールの話

日本で言えばビーチ沿いに並ぶ海の家のように、取れたての地の魚やエビ・イカを焼いて出してくれるシーフードのお店。ここ数年、ジンバランの名所として観光客で賑わっています。イカンバカールとは"魚のバーベキュー"という意味で、そういうお店が並ぶジンバランの一画を指すのです。どれも似たようなお店なので、どこに入って良いかは地元の人たちに聞くしかありません。ドライバーに勧められて私が入ったのはバリ・カフェというビーチに向かって空港側、右端のほうのお店。入口で好きな素材を選んで、好きな調理方法で焼いてもらえるのは新鮮な感じがしてうれしいのですが、なんだかあたりそうな気もしないではありません。昼に来たことはないけれど、店名から察するに喫茶店なのか、あるいは以前そうだったのか、焼き魚にそぐわない店名です。
入口から奥に進むと浜にテーブルが置かれていて、砂浜の上のテーブルで食べるのです。テーブルまで誰も案内してくれるわけじゃないので勝手に座るでしょ、なかなか料理が運ばれてこないと不安になります。夜は弾き語りのグループ(流しのお兄さんたち)がテーブルの横で歌い、歌い終わると帽子を持ってテーブルを回るのが、ちょっと迷惑。客の顔を見て、その国の言葉で歌うのだからプロであることに間違いはないのでしょうけれど。波打ち際というロケーションの良さも手伝って味はまあまあおいしかったが、台湾人の団体(ファミリー)とかちあってしまったせいか、1時間半以上も待たされてしまったのにはうんざり。飲物は別にオーダーするのですが、注文しなくてもライスはついてきます。入口でなら値段は交渉できるらしいけれど、僕は何も交渉しないで入りました。魚やイカやエビなどを頼んで大人3人、子供2人(うち一人は乳呑児)で30万ルピア...4000円くらいでした。バリだけに日本と比較すればそれほど高くはないけれど、地元の価格に馴れた後ではかなり高く感じます。

追記...イカンバカールは2つに別れていました。上記の一帯はじつは観光客向け。本当のジンバランのイカンバカールは空港から反対の方向に少し離れた一帯。こちらはどちらかというと地元向けで少し値段も安い。ただトイレもローカル(汚い!)なので、お好みの方にお入りください。味よりも、ジンバランの夕陽に感動します。

 

●その4...チャングー界隈のレストランの話

チャングーはまだあまり知られていないところ。クタから車で20分も走れば、水田だらけの村に出る。レストランと言っても、地元の人たちが利用する食堂兼雑貨屋のワルンが数件あるだけです。旅行者向けにあると言えば、チャングービーチ沿いのレストラン街くらいなもの。レストラン街と言ったって、バラックづくりのワルンのような小さな食堂が数件並んでいるだけのところ。ここはサーファーの波待ちに利用されているくらいなものなので、食べるというよりも、何かお腹に入れるというくらいの食事しかありません。角から2軒目のマンディラショップでは、ウエットスーツを脱ぎながら口に入れられるジャッフル(オージーたちに人気のトーストサンドのようなもの)が人気。少し離れたところにあるホテル・トゥグバリのハイティーなどが雑誌で紹介されていたので行ってみたい気はするけれど、子連れじゃちょっと入りにくそう。本格的な食事となるとチャングーでは今のところ難しいけれど、最近はホテルやコテージができ始めているので、そのうち気軽に利用できるレストランも増えるに違いありません。このあたりのコテージは、いろいろとこだわっているところが多いので、期待できそうです。

 

●その5...郊外のローカルレストランの話

雑誌に紹介されている有名なレストランは、料理の味や見た目、店の雰囲気など、やはりそれなりに私たちを楽しませてくれるので、それはそれで行きたくなるけれど、実際に行ったところで、思い出に残るようなお店はそれほど多くありません。雑誌やガイドブック命とおっしゃるマスメディアぞっこん派は別として、おすすめしたいのがローカルレストラン。滞在中、少なくとも1回〜2回は体験して欲しい。衛生面においても、生もの(刺身はもちろんカットフルーツ)や生水(アイスコーヒーの氷)にさえ気を付けていれば、なんら心配はいりません。おいしいと評判の店は地元のドライバーが良く知っています。
中にはスプーンやフォークのないお店、ビールが置いていないお店など、地元レストランならではの経験を余儀なくされるところもありますが、たいていはふつうのレストランと変わりはありません。観光客向けのレストランとあきらかに違うのが、味の良さと料金の安さで、バリに行って地元の味を経験せずに帰ってくるなんて、とても信じられません。
テピカリからウブドに向かう途中のタバナンという村においしいレストランを見つけました。看板にはM2という文字が大きく出ているだけの店ですが、すぐにわかると思います。バードパークに行く観光客もたまに入るらしいけれど、たいていは地元のお客さんしかいないとのこと。ナシゴレンやミー・ゴレン、チャプチャイ、アヤムゴレンなどインドネシア料理ばかりだけれど、どれもおいしくて安い。なんと言ってもうれしいのが、その雰囲気。バンブーの太い柱に高床と茅葺き屋根だけという出で立ちのオープンエア。お店を挟んで周りはだだっ広いライスフィールドに囲まれているだけので、眺めは良く、涼しくて快適。夜よりも、明るい時間、熱い午後よりも午前中に立ち寄るのがベストだと思います。ウブドに行く途中、ちょっと立ち寄ってみて欲しいですね。こういうお店では、ブンクス!と言えば、テイクアウトすることもできます。

 


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