●エッセイ14
バリの滞在法

バリでの滞在方法には大きく分けて次の3つの方法がある。それは、そのままバリの楽しみ方と言ってもいいかもしれない。まずひとつ目が、一流ホテルで高級リゾートを楽しむ方法。そして2つ目が、ロスメン(バリの民宿)でローカルな暮らしを楽しむ方法である。どちらもバリならではの究極の楽しみ方だと思うし、チャンスがあればどちらも味わってみるべきだと思う。しかし、高級ホテルを徹底的に楽しむにはそれなりの予算が必要なことは言うまでもないし、ローカルな暮らしを楽しむには、それ相当の覚悟が必要となる。日本で人気のバリ島も、アジアの国であることにはかわりない。本当のバリを知るには、それ相応のリスクが伴う。心して臨んでいただきたい。そこで、私が推奨するバリ滞在は3つめの楽しみ方ということになる。これは上記少数派を除く万人向きの楽しみ方でないかと思う。あくまでも私のお勧めである。私の少ない経験と淋しい懐具合から感じた私見なので、内容についてお叱りを受けるかもしれないが、それはそれで甘んじて受けましょう。

1.一流ホテルで楽しむ贅沢なリゾート

まずは、一流ホテルでバリを楽しむ。ヌサドゥア、タンジュン・ベノア、ジンバラン、サヌール・・・バリではこのあたりに高級ホテルが集中している。リゾートホテルとしてのスタッフ教育はかなり行き届いているらしく、そのきびきびとした動きはとてもバリ人とは思えない。高級ホテルと一般のホテルの違いは、全体の造りはもちろんのこと、施設、調度品、スタッフ教育...と、どれをとっても一流であり、お客様の誰もを満足させられるものである。中でも高級ホテルほど、お客様ひとりあたりのスタッフの数が多い。女性達の憧れのホテルにアマン系列のホテルがある。生憎滞在したことがないので、そのすばらしさはお伝えできないが、通常のホテルの5倍と言われている。いつか泊まってみたいと思うが、つねに見られているような気がして煩わしいと思っているうちは高級ホテルに泊まる資格は無いと思っている。どこに泊まってみたいか、それは女性誌に特集が組まれているので、そちらにおまかせしたいが、もしヨーロッパで同じレベルのホテルに泊まり、同じようなサービスを受けたりしたら、きっと目の玉が飛び出るほどの金額になるはず。それがバリなら手頃な金額で楽しめるのだから、贅沢を極めたい方に、バリはぜひオススメしたいリゾートである。

人気ゆえか、パッケージツアーに組み込まれ、かなりお値打ち価格で実現してしまうのはありがたいことではある。しかし泊まる側にも少し考えていただきたい。「あの憧れのホテルが3泊4日で10万円だってさ、ねぇねぇ、バリに行かない?」その結果・・・なんと施設内のレストランやエステはもちろん、せっかくのサービスをほとんど利用することなく、唯一利用するのは無料のプールだけ。無料シャトルバスに乗ってヌサドゥア・エリア入り口付近にあるスーパーに買い出し。ビールとおつまみを買って、スーパーの袋をぶら下げて部屋に戻って乾杯!それで満足という人の何と多いことでしょう。同じ料金で楽しい滞在方法がありますよとそっと教えて差し上げたい。有名ホテルに泊まりたいとおもっていたけれど何か違うなと思って二の足を踏んでいたあなたには、3つ目の方法をお勧めいたしましょう。バリにはもっと楽しい滞在方法があるんです。その前にディープなバリ体験。

2.ロスメンで、というディープな滞在方法。

ロスメンは、バリの民宿と言われています。このロスメンにもいろいろあります。料金は1泊数百円から数千円。お風呂と言っても水を浴びるだけの共同のマンディ(沐浴場)しかないようなところから、エアコン完備の清潔な部屋まで。あたりはずれは大きいので、部屋を探すときは1軒1軒自分の目で確かめて料金を交渉しなければなりません。しかし、とても良いロスメンに出逢うことが出来れば、1泊数千円の部屋に泊まっているのが馬鹿馬鹿しくなるほど快適。ご主人に可愛がられ、一般の旅行客では味わえない経験をたくさんすることができるのです。バリに1カ月以上滞在するような人、とくにダンスやガムラン、絵画などを習いに行くことを目的とした人はぜひともトライして欲しい滞在方法です。時間のない人、勇気のない人、根性のない人、しかもお金のない人はどうすればいいの? 大丈夫。次の方法があります。

旅行関係の仕事をしていると、いろいろなホテルに行く。しかし、いろいろな部屋を見るだけで、実際には泊まらないことのほうが多い。部屋を見せてもらっても、実際に気に入ったホテルは少ないし、泊まってみたいと思っても分不相応だったりする。無理して泊まろうにも1泊に支払える料金にも限度があるから泊まるホテルは限られる。せっかく泊まっても、食事の度にホテルからこそこそ出て安いレストランに通うのも気が引ける。せっかく来たバリ。どうせなら気心の知れた家族、友人、ホテルのスタッフと気兼ねなく楽しむ方が、心が癒されるというものである。

そういった意味で、私が数年前まで常宿にしていたのがクタのポピーズホテルだった。エッセイ2の「庭の美しいバリのコテージ」でも紹介しているが、喧噪のクタにあって、ほっとできる夢のような別世界の小さなホテルである。感じの良いスタッフがもてなしてくれるし、付随しているレストランの味は舌になじむ。さらにクタの街は若い頃から馴れ親しんだテリトリーであり、なによりも便利である。買い物にも、食事にも、ちょっとキーを預けて散歩方々気軽に出かけられるのがいい。そしてローカルフードはもちろん、イタリアン、チャイニーズ、寿司まで、食べたい物が何でも食べられるのは何よりもうれしい。寝付けない夜はベッドから抜け出し、アラックの一杯もひっかけて来れる良さがある。今でも一人でバリに行くときは泊まりたいと思う。

しかし、素朴で静かな田舎暮らしを知ると、どうも都会のうるささに耐えられなくなる、年齢をとったせいかもしれない。初めてのバリ滞在をウブドで過ごした人は、またウブドに戻ってくると言われている。ヌサドゥアに泊まった人は2度と来ない人が多いし、友達に誘われて2度目にバリを訪れるときでも、またヌサドゥアに泊まりたい人は少ないようだ。たいていはクタやウブドに行きたくなる。

スローライフという言葉が欧米で使われはじめてからだいぶ経つが、日本ではここ数年のことである。カントリーライフとも言われるが、言ってみれば自然の中で暮らそうというような意味合いである。「ゆっくり」とか「癒し」をキーワードに。

年齢をとったと言っても、まだ40歳代。しかし結婚をして、子供が産まれると、夜遅くパブで酒を飲んでも面白くないし、素敵な女性と出会っても何が起こるわけでもない。家族と休暇を楽しむのだから、みんなで楽しめるところに落ちつくことになる。

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